高真空中で陰極より放出された電子を高電圧で加速し、被溶接物に衝突させてそのエネルギーで溶接を行う方法。EBWともいう。この溶接は通常高真空中で行うため、大気と反応しやすい金属をも容易に溶接でき、また電子ビームをレンズで細く絞ってエネルギーを集中させることができるので、ジルコニウム(Zr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などの高融点材料の溶接が可能である。他の溶接法に比べ溶接入熱が小さいので溶接ひずみおよび変形が少なく、また溶接部の幅が狭いので精密溶接が可能なこと、深溶け込み溶接ができるので厚板の高速溶接が可能であるなどの利点がある。欠点としては、設備費が高いこと、通常真空中で溶接するので被溶接物の大きさに制限があること、X線防御に留意する必要があることなどがあげられる。溶接箇所のみを部分的に真空にした電子ビーム溶接機などが開発され、大型構造物の溶接も可能になっている。